犬

【後編】売れたはずの家が白紙に。それでも、今は幸せです

最初の売買契約を結んだあと、測量で境界や図面の食い違いが分かりました。将来の建て替え条件についても、確認が必要になったのです。

ここは、詳しく話し始めると長くなります。

確認を進めるうえで力になってくださったのが、自治体のまちづくり課の担当者でした。過去の道路用地取得に向けた測量の経緯を調べ、法務局との確認や調整にも奔走してくださいました。

ただ間に入っていただいたというだけでなく、過去の経緯を一つずつ調べてくださった。望んだ形で修正には至りませんでしたが、その対応には今も感謝しています。

一方、買主さんとは、確認した内容の受け止め方が一致しませんでした。買主さんの住宅ローンは承認されたと聞いていましたが、話は折り合わないままでした。

このまま引き渡して、あとからまた問題にならないだろうか。

私も、無理に取引を続けることは避けたいと考えました。最終的には契約を白紙に戻すことになり、預かっていた手付金を全額返しました。

決まったら、すぐに終わりというわけでもありません。解除書面の法律面の確認に時間がかかり、正式な解除の手続きと、次の家の購入手続きが重なりました。不動産会社も銀行も、大忙しです。

ここで困ったのが、資金です。

次の家の購入と住宅ローンは、すでに決まっていました。果凛を迎える段取りも進んでいます。

ところが、入るはずだった売却代金が入らない。購入に必要な資金が、足りなくなりました。

売却だけがなくなり、購入はそのまま進んでいる状態です。

このとき、事情を聞いた友人が、資金面で力を貸してくれました。

これが、本当に大きかった。

次の家の購入を進めることができ、もう一度、売却の機会を待つこともできました。

あとから結果だけを見ると、うまくいった話に見えるかもしれません。でも、その結果にたどり着けたのは、この助けがあったからです。

先が見えなかったときに、実際に手を差し伸べてくれた。そのことは、忘れられません。

そして、最初の契約が白紙になってから、およそ1か月後。新しい買主さんが見つかりました。

お母様と暮らすため、23区内でJRの駅に近い家を探していたそうです。こちらの事情も理解してくださり、家を気に入っていただけて、購入はすぐに決まりました。

結果として、当初より良い条件で売却することができました。

もちろん、それを狙って最初の契約を白紙にしたわけではありません。あの時点では、こんな結末になるとは分かりませんでした。

私たちは、妻が願っていた犬との暮らしへ。買主さんは、お母様との暮らしへ。

同じ家の売買が、それぞれの望む暮らしにつながりました。

振り返ると、家の売買なのに、人に助けられたことが強く残っています。

家探しの話を聞き、喜んでくれた友人たち。複雑な経緯を調べ、調整してくださった方々。そして、苦しいところで支えてくれた友人。

自分たちだけで何とかした住み替えではありません。

持ち家か、賃貸か。損か、得か。

考えることはたくさんあります。でも、私たちには、手に入れたい暮らしがありました。それが、家を選ぶ軸になりました。

そのための住み替えは、想像以上に多難でした。それでも、今、妻と果凛との暮らしがあります。

この暮らしを手に入れられて、本当に、本当に幸せです。

お友だちとじゃれ合う果凛

お友だちとじゃれ合う果凛。

前編を読む:【前編】妻が願っていた暮らしを、ふたりの暮らしにする

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